制震の仕組みとは?制震構造の基本的な仕組みについて解説

制震の仕組みとは?制震構造の基本的な仕組みについて解説

地震大国日本。大きな被害をもたらした東日本大震災は記憶に新しいことでしょう。また、M8~M9クラスを危惧される南海トラフ巨大地震も、30年以内に起こる確率が70%以上といわれています。そんな日本だからこそ地震に強い家づくりのために、さまざまな技術が発展してきました。なかでも、近年戸建て住宅にも採用され、注目されているのが制震工法です。どのような仕組みなのかみていきましょう。

3つの地震対策工法

耐震工法

まず、地震対策の基本的な考え方として耐震があります。文字通り、揺れに耐える構造を作るもので、補強して建物そのものの強度を上げるわけです。

免震工法

免震の工法は、装置を建物と地盤の間に設置し切り離すことによって、地震のエネルギーを建物に伝えないようにします。そのため揺れは格段に軽減され、建物やその内部のダメージはかなり少なくなります。

制震工法

最後に、制震は揺れを特殊な装置によって吸収し、抑制する工法です。内部の揺れの軽減と、建物そのものへのダメージを減らすことが可能です。

制震工法の魅力

では、3つの工法のうち、なぜ近年制震工法が注目されているのでしょうか。

耐震の特徴とデメリット

耐震構造の建物は、地震のエネルギーを逃すことなく直接受けてしまうため、ダメージが大きくなります。強度は増しても、想定以上の揺れや頻繁な振動により、ダメージが蓄積してしまうのです。耐震構造だけでは近年の地震事情からも備えが物足りなく感じることは否めません。基本的に耐震構造を満たすことを先に考え、プラスして制震構造、免震構造というオプションをつける、という考え方が近年はよくされています。

免震の特徴とデメリット

免震構造の建物は、地震の揺れもかなり小さくなり、建物の損傷もかなり少なくていいことづくである気がしますが、コストがかなりかかります。また、一から家を建てる際には良いのですが、今ある家に取り入れるにはかなり大がかりな工事が必要です。

さらに、定期的なメンテナンスが必要なことも忘れてはいけません。軟弱な地盤では施せないうえ、垂直の揺れには効果が薄い、地盤から離れているため津波や台風被害には弱いのではないかという弱点も見えてきました。マンションの場合は、免震構造のメリットは大きいですが、戸建ての場合、費用や施工期間の長さ、環境条件により選択に悩むことが多いでしょう。

制震の特徴とメリット

制震の特徴とメリット

制震工法は、揺れの軽減の程度は免震工法より劣りますが、地盤の状態にかかわらず対応可能な工法(築年数によっては難しい場合もあり)で、メンテンスも基本必要ありません。新築・リフォーム問わずコストに関しても免震工法よりはるかに安くなので、そこで耐震構造にプラスして、戸建て住宅に関しては制震工法の方が選ばれやすい傾向にあるのです。

制震の基本的な仕組み

では、次に制震の仕組みについてみていきましょう。上でも述べましたが、制震は特殊な装置によって振動を吸収し、建物が揺れるのを抑制する工法です。振動を軽減する装置を建物の内部に組み込むのです。振動を軽減する装置としては、おもりやダンパーとよばれるものが使われます。

ダンパーによる仕組み

ダンパーの振動吸収の原理はその種類によりさまざまですが、基本的な仕組みは同じです。ダンパーと呼ばれる装置を柱や壁の接合部分に設置します。すると地震の衝撃を受けて建物が変形した際に、ダンパーも合わせて一緒に変形することで振動のエネルギーを吸収してダメージを減らします。

 

制震の仕組みを支えるダンパー

振動吸収にはたらく装置・ダンパーには主に三種類があります。次はその装置の種類に目を向けてみましょう。

オイルダンパー

オイルダンパーは、オイルの粘り気のある抵抗性を利用して建物の揺れを軽減します。車の乗り心地を良くするため利用されているショックアブソーバーの技術の応用です。大きな揺れにも小さな揺れにも対応可能です。

地震だけでなく台風による強風の揺れにも効果を発揮します。しかし、定期的な点検が必要になります。これは、経過年数によっては油が漏れ出してしまうことがあるためです。またほかのダンパーより高価な点もデメリットです。

鋼材ダンパー

鋼材ダンパーは、金属を材料として作られたダンパーのことです。地震によって金属が曲がる力を熱エネルギーに変えることで揺れを抑えます。シンプルな造りで安価です。小さな揺れには反応しづらく大きな地震向けのダンパーですが、耐久性は他と比べて低いので大きな地震が度重なると効果が得られなくなることがあります。

粘弾性ダンパー

特殊な粘弾性のゴムのダンパーです。地震の揺れに対して伸び縮みさせることで地震の力を熱に変えて、ダンパーに吸収する仕組みです。ゴムは伸びればすぐ元に戻る力が働くので繰り返される余震にも強くなっています。

しかしながらこれもゴムの特性ゆえ、温度よって硬さが変化してしまうことがあり設計が難しいようです。劣化が早いのではないかと懸念もされています。小さい揺れに効果が期待できますが大地震には他のダンパーより効果が低いため、併用して用いられることもあります。ダンパーも予算と相談しながらこだわって選んで、最後まで納得のいく地震対策をしたいものです。

まとめ

以上、家の地震対策に効果的な工法のうち制震工法に焦点を当ててみました。選ばれる理由からその仕組み、組み込まれるダンパーの種類までを紹介しました。いつ来るかわからない巨大地震に備えて、住まいの防災を今のうちから考えておくことが大切です。

「株式会社オグラ工務店」では、一戸建てのお住まいの地震対策として制震をおすすめしています。地震対策をお考えの方は、まず一度お気軽にお問い合わせください。

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